――翌日。
いつものように、ユキがラボにやってきた。
ユキは私の身の回りのことを全部やってくれる。
もういくらか私の身体は動くのに。
何かしようとするたび、ユキが先回りして手を貸してしまう。
水を飲もうと思えば、ユキが手に取ってしまうし。
髪が邪魔で後ろに払おうかと思えば、ユキが私の髪を後ろに流す。
食事も全てユキが私の口へと運んでくれるし。
口元が汚れれば、すぐさまユキが拭ってくれる。
トイレに行こうとすれば、否応なしに抱きかかえられ。
手洗いのソープでさえ、ユキがポンプを押した。
「おい、色男」
ユキに横抱きにされ、トイレから戻る最中だった。
呆れた顔つきの獏が、ユキの足を止める。
「ソイツはもう動ける」
「………」
「過保護もほどほどにしろ。ある程度動かしてやんねぇと、筋力が戻らない」
ユキは考えるように私を見た。
視線がパチリと合って、私はその瞳からパッと目を逸らす。
「………」
私を抱えるユキの手に、グッと力がこもった。


