「『大丈夫』『平気』『なんでもいい』」
「………」
「このお前の口癖。気ぃ使いなのは多分お前の素だろ。んでも、ちょっと度を越えてる」
たしかにそれは私の口癖かもしれない。
「度を超えてるって……」
「獏サマの宿題、その2」
「あの、」
こちらの戸惑いなんて無視。
獏は人差し指と中指を立てて、私の鼻先へ突きつけてきた。
「明日、ひとつ。あの色男に甘えてみろ」
「あ……甘える?」
「ああ」
「どうやって?」
「知らねぇよ」
背中を向けた獏に、「ちょっと待ってください」と焦っていると、おもむろにこちらを振り返った。
「あ。でも」
「………」
「俺に報告できる内容に留めろよ。あの男がかわいそうだ」
そう言って、奥に引っ込んでしまった。
「………」
甘える?
私が、ユキに?
――何を?
私の頭の中は、明日どうやってユキに甘えるか。
そんなことでいっぱいだった。


