背を向けた私に、声が追いかけてくる。
「ねえ、飲んで」
「いらない」
「じゃあ、食べて」
「いらない」
「僕は、君の身体を治したいんだ」
「必要ない」
「早く大丈夫にしたいから」
「じゃあ」
「……なに?」
期待したような声に、突き返すように応えた。
「私を、元の場所に帰して」
私がそう言うと、地下の売人は少しだけ黙る。
だけど返ってきた声は、これまでの弱々しい声とは打って変わり。
感情の削げ落ちた、揺るぎのない声だった。
「それはできない」
「どうして?」
「あそこじゃ、君を守ることができない」
「守ってもらう必要ない」
「君は、僕のそばに居なくちゃ」
「勝手に決めないで」
「シトウに対抗できるのは、僕しかいないから」
「………」
「だから、この僕が守る」
「……私は、あなたなんかに守ってほしくない」
なんなの……この人。
意味がわからない。
私の気持ちだって、一つも聞いてくれない。


