余所者-よそもの-【 3 】



「食べきれなかったのは、何が悪い?」


「………」

……何が悪いって、言われても。


「お前が食べ残したのは、体調が悪いから」

「………」

「悪いのは、お前じゃなくて、お前の体調」


それは、そうだけど。


「んで?今の腹の調子は?」

「……胃が、むかむかします」

「わかった。胃薬出してやる」


獏は踵を返し、調合室の引き出しをガタガタと開け閉めする。

やがて薬を手に、こちらへ戻ってきた。


「俺はお前の体調に合わせて薬を調合する。元々そういう仕事だし、それが俺の選んだ道」

「………」

「お前の面倒を見るって買って出たのも俺。全部、俺自身が選択したこと」


どうしてわざわざ、そんな話を。

私がパチパチと目を丸めていると、手の上に錠剤が乗せられた。


「………」

手の中の薬を見る。


胃がむかむかするから、食べられなかった。

獏はそれに合わせて、薬を出した。


ご飯を作ったのも。

私の世話をしてくれるのも。


全部、獏が自分で選んでやってること。


「……あ」

少しだけ、分かったかもしれない。



「で?どうなんだよ。晩飯を残した自分のこと、許せそうか?」


食べられなかった自分を、責めなくてもいい。

これも自分を許すってことなのかな。



「……はい。許せそうです」



そう返事をすると、獏は黙って私の食器を片付けた。