だから、その晩。
千景が帰ったあと。
獏と二人で夜ご飯を食べながら、尋ねてみた。
「獏さん」
「んあ?」
「オランダの話、本気ですか?」
「あー本気、本気」
軽い返事。
本当、何を考えてるんだろ……この人。
「安心しろ。俺はロリコンらしい」
「何を安心しろと……」
千景の話が聞こえてしまっていたみたいだ。
「今んとこ、どうだ。迷ってんのか?」
「わからないですよ……何をどう考えたらいいのか」
すると――カラン、と食器にスプーンの柄が当たった音が響いた。
顔を上げれば、私の鼻の先に人差し指が突きつけられている。
獏が持っていたスプーンを手放し、指を一本立てていた。


