余所者-よそもの-【 3 】



「あーだこーだ、うるせぇなぁ」

「………」

「どいつもこいつも。てめぇ勝手すぎねぇか?」


凄みを利かせた低い声。

獏がひと際強く、言い放つ。



「お嬢ちゃんがどこで、誰と、どうやって生きるか」

「………」


「ここで何よりも重要なのは、お嬢ちゃんの意志」


ユキと千景はピクリ、と反応した。


「俺がここを離れるまで、あと二週間」

「………」



「その間に、お嬢ちゃん自身に答えを出させる」



獏は最後に「わかったな」それだけ言うと、もう私たちを見もせず、薬瓶に手を伸ばした。


「………」

どこに帰るか。

あと二週間で――私自身が、選択する……。



ふと、視線に気がついた。

「………」

ユキは、私をじっと見つめていた。


後ろにいた千景がグッと拳を丸める。

そして、一歩部屋の中へと踏み込むと。

――バタン、と。


ユキの視線を私から遮断するかのように、扉を閉じた。


千景はそれから、『オランダなんか行くな』と言い続けた。

『どっか逃げるなら僕と一緒に逃げよ』とか、『アイツはロリコンだから危ない』とか。


「………」

私は、どうしたいんだろう。

千景のどの言葉にも、ロクに返事をすることができなかった。