獏のラボで過ごすようになって、数日が経った。
ユキと千景は、ほとんど毎日私の元に来てくれた。
「……じゃあ。また明日来る」
明日も会えるのに。
別れの挨拶を口にするユキは、いつも少し苦しそうで。
「はい……」
……私も、辛い。
ガラ、とユキが扉を開けると、そこに千景が立っていた。
「時間だ。さっさと出てけ」
「かぁこの身の回りのことは俺が全部やった。もうお前にやることはない。帰れ」
顔を合わせるなり、口喧嘩を始める二人。
「……ちょ、」
声をかけようとした、そのとき。
千景の後ろに、大きな人影が立った。
「お前ら、マジで出禁にすんぞ」
腕を組み、凄んだ獏。
二人はぐっと黙った。
やがてユキが足を踏み出すと同時。
「っていうかさ」と、千景が話しだす。
「もう点滴も外れたし、帰れるよね?」
その言葉に、ユキが足を止める。
「もう帰れるのか?」
二人の視線が獏に集中した。


