余所者-よそもの-【 3 】




「チカとあの色男」

「………」

「あの阿呆二人を悲しませても。それでも地獄に戻りたいのか?」


……地獄。

リビドーは、地獄のような場所。

たしかにそうだった。


ユキも千景が助けてくれて嬉しかった。

……戻りたくはない。


だけど。

「じゃあ、どうすればいいんですか?」


野間くんが死んだ。

私を助けてくれた彼が。


私が、彼を死なせてしまった。



「どうすれば私は正しく生きられますか?」


わからない。

どうすればいいの。


嘆いた私に、獏のその声はやけに落ち着き払っていた。


「さぁ?」

「………」

「正しいも、正しくねぇも、たかが結果論だからな」

「だったら……」


私の声を、獏が遮る。


「ただ一個、言えることがあるとすれば――誰にも、明日が来る保証なんかどこにもねぇ。これが世の中の『絶対』」

「……絶対?」

「だから、今日のことだけ考えときゃいい」

「今日……」


そんなこと、言われても。


「で?お前はどうしたいんだよ」


……よく、わからない。

難しいって顔をする私に、獏が意地悪そうに口元を緩めた。



「――今。お前は、どうしたい」


獏が、汗で濡れた私のシャツをつまみ、パタパタと風を送ってくる。

ひんやりとした濡れた布が肌に張り付いて、気持ち悪い。



「……着替えたい、です」