――その晩。
「落ち着け」
「……っ」
目を開けると、身体が動かなかった。
ベッドの上。
獏が、私の両腕を押さえつけている。
「シドがっ!」
「誰だ、そりゃ」
「バレちゃったのっ」
「何がだよ」
「………」
今、私が話してるのは、獏。
おかしい。
……ここは、どこ。
私、さっきまでリビドーに居たのに。
「……なんで」
「周り見ろ。さっさと戻ってこい」
「………」
「……ちがう」
違う、ここはリビドーじゃない。
私は……あそこを、出た。
「目ぇ覚めたか?」
「千景は……?」
「とっくに帰したよ」
全身は汗でびしょびしょ。
獏は抑え付けていた私の両手を、ゆっくりと離す。
……私は、悪夢を見ていた。
「……獏さん、ごめんなさい」
きっと暴れたんだ。
獏は「ふう、」と息を吐いて、乱れた髪を後ろに掻き上げ、整えた。


