「かぁこ」
ユキは少し足早になって近づくと、手を伸ばして、私の頬に手を添える。
ベッドに横たわる私をまっすぐに見下ろしながら、ホッとしたように小さく息を吐く。
「どうだ、調子は」
「大丈夫です」
目を伏せると、ユキの後ろにいる獏に気が付いた。
「………」
腕を組んでこちらを見てくる獏の視線。
さっきのやり取りを思い出して、自分がダメなことを言ってしまったような気分になった。
「おい、色男」
「なんだ」
「お嬢ちゃんの着替え。持ってきたのか?」
「ああ」
ユキの手には、大きな紙袋が下げられていた。
「汗がひどい。後で着替えさせてやれ」
「わかった」
「あと」
「………」
「一応言っておくが、全ッ然『大丈夫』じゃねぇぞ、ソイツ」
「わかってる」
獏はユキの返事を聞くなり、静かに奥の部屋へと消えていった。


