余所者-よそもの-【 3 】



するとそこで、――コンコン、とノックが鳴った。

獏は扉に目をやり「さぁて、どっちの馬鹿かな」と足を進める。


てっきりそのまま扉を開けるのかと思いきや、寸前でこちらを振り返った。


「入れるぞ?」


ぴくり、と指先が反応する。

私は顔を少しだけ伏せて、『はい』と返事をしようと口を開きかける。


すると獏は、

「ダメだ、入ってくんな」

と、扉の外に声をかけた。


次いで、「ちょっと外で待ってろ」と言いつけ、私の元に戻ってくる。


どうしたんだろう。

きっと扉の前で待ってるのは、ユキか千景。


これまで何度もここに来てくれた。

意識はまばらで、どんな話をしたかは覚えてなくても、介抱してくれたことは覚えてる。


「お前、意識はもうだいぶ立ち上がってきてんな?」

「………」

「今『誰か入ってくる』って思った瞬間、何が頭に浮かんだ?」


何が……浮かんだんだろう。


「……わかりません」


言葉にできなくて、ただ俯く。


「嫌なのか?」


そんなわけない。

ユキも千景も、とても優しい。


「……会いたい、です」

「じゃあ、なんであんな顔した?」

「あんな顔?」

「わかんねぇ?」

「……はい」

「じゃあ、いい」


獏が扉を開けると、入ってきたのはユキだった。