余所者-よそもの-【 3 】



「なんで帰りたい?」

「ひどい目に、遭う……から」

「誰が。お前がか?」

「………」

「どうして帰らなきゃならない」

「死んじゃう」

「だから、誰が」

「私があそこを出ると。私が誰かと関わると」

「………」

「みんな、死んじゃう」


そう言って、カナコは「野間くん……」と力なく床に伏せた。


獏は「なるほどな」と言って、カナコの腕を捕まえた。


「ベッドに戻れ」


首を横に振るカナコを、獏は問答無用で抱き上げる。

そのままベッドに寝かせると、尚も起き上がろうとする頭を、枕に押し付けた。


「寝ろ」

「放して」

「寝・ろ」

「なんで……あなたは、だれ」



「残念だったな?お前は俺の薬を食っちまった。おいそれと死なせてやんねぇぞ。ボケが」



カナコの身体は、リビドーの密室から救い出された。

だが――その心はまだ、あの暗い部屋に閉じ込められたままだった。