余所者-よそもの-【 3 】



――それから、数日。


カナコは少しずつ、起きていられる時間が長くなった。

短い会話や受け答えができる程度には、頭がはっきりしてきた。


そうすると問題が起きた。

カナコは自分が今どこにいるかも、もう、わかる。


それは、ユキも千景も居ない深夜だった。


「帰らなきゃ……」

――ドサリ、と落ちるようにベッドから降りた。


カナコが休んでいた部屋の隣は、調合室。

獏はすぐさま物音に気付き、ゴム手袋を外しながらゆっくりとカナコに近づく。


「おい。どこ行く」

「……かえる」

「どこに」

「リビドー」

「あ?そりゃ、どこだ?」


長らくまともに動いていないカナコの身体。

筋力は落ち、足腰だってまともに立たない。


獏は、カナコがどこに帰ろうとしているのかわからない。

幻覚を見ているのか、それとも何か目的があるのか。


彼女を好きにさせながら、会話を続けた。