余所者-よそもの-【 3 】



――その晩。


千景は一度家に帰り、シャワーを浴びた。


……一人ずつしかママのいる部屋に入れない。

ということは、あの男が入るより前にラボに入らないといけない。

つまり、早い者勝ちだ。


「野宿上等」


千景は深夜。

テントを片手に、森へと入った。


入口前にテントを広げ、設営の準備をする。


「……ん?」


すると、近くから何か音がする。

こんな森の中で、獣か?


音の方に目をやれば――……


「何の用だ」


地面にペグを――カン、カン、と打ち付けているユキの姿があった。

ユキは千景のものより、ひと回り大きめのテントを設営している。


「………」


千景は無言で歩み寄ると、打ち込まれたペグをスッと引っこ抜いた。


「……おい、喧嘩売ってるのか」

「ああ。売ってる。ウザい、お前」


そうして、しんと静まり返った夜の森で、乱闘が始まった。



――翌日の朝。


獏のモーニングルーティン。

コーヒー片手に、表に出ると。


「………」

「………」


設営途中で崩れた、二つのテント。

その傍らには、ユキと千景が転がっていた。


獏は顔をげっそりとさせ、


「……キモ」


とだけ言って、扉を閉めた。