「ま、お前ら今日のところは帰れ。何日もロクに寝てねぇだろ。お嬢ちゃんは預かる」
そう言った獏に、やっぱり二人は揃って首を横に振った。
「ダメだ、許さん。お前らうるせぇから」
千景はじろりと獏を睨みつけた。
「お前……」
「あ?」
「あの人に変なことするなよ」
「病人に手ぇ出すか」
「若い女大好きだろ、お前」
「あー、マジ……うるせぇ……」
獏はもう疲れていた。
カナコを連れてこいとは言ったものの。
二人はずっと彼女のそばを離れない。
離れないだけならまだいい。
ずっと、
「俺は残る。お前は帰れ」
「は?お前が帰れよ」
……うるさい。


