獏は再び眠ったカナコを一瞥すると、立てた親指を後ろに倒した。
「そこの色ボケ二人組。話がある、コッチ来い」
そう言って踵を返し、奥へと歩き出す。
当然二人はついてくるはず。
が、一向に足音が聞こえてこない。
そればかりか。
「さっさとかぁこから離れろ」
「お前が先に離れろよ」
「お前が離れたら俺も離れる」
「お前にはママよりあの汚ぇオッサンがお似合いだ。先に行け」
「だいたい『ママ』ってなんだ、気持ち悪い。二度と呼ぶな」
「お前だって『かぁこ』ってキモイんだよ」
獏は後ろを振り返り、「いい加減にしろ」と、げんこつを二つ落とした。
しぶしぶカナコから離れた二人。
カナコの眠る休憩室の隣にある調合室に移動した。


