――カナコは、深い夢を見ていた。
一面真っ白な、白銀の世界。
雪の中。
たった一人、佇んでいる。
……寒い。
そう肩を寄せれば、やけに薄着な格好に気が付いた。
白のキャミソール、下はパンスト一枚。
どうしてこんな場所に、こんな格好で。
不思議に思っていると、キン、右手の中が冷たい。
「………」
恐る恐る、握りしめていた右手を開く。
何もない。
なのに、とても冷たい。
「痛いね」
どこからともなく、声がした。
カナコは首を横に振る。
だって、痛いとは思っていなかった。
ただ、冷たいだけ。
冷たくて、冷たくて、沁みているだけ。
「かぁこ」
名前を呼ばれた。
「ユキさん」
そう応えた。
すると、ズキズキと右手が疼いた。
……あれ。
「……痛い」
ユキさん。
痛い……痛いよ。
「ユキさん」
――帰りたい。


