「………」
紫藤は、気圧されるように一歩、後ずさった。
膝の力が抜け、ふらふらとさらに二歩、三歩と下がる。
頭を抱え込むようにして、悪夢でも見ているかのような弱々しい声で呟いた。
「……ころす……な」
ユキは紫藤を視界に入れることすら拒むように、まっすぐ足を進める。
「死なせるな……」
紫藤と、ユキが――すれ違った。
「生かせっ……!なんとしても……生かせ!!」
走り去る、ユキと千景。
遠退く背中。
紫藤はまるで脳天に大きな衝撃でも食らったかのように、床に蹲(ウズクマ)り。
「………」
脱力したまま、動かなかった。


