ユキは、壊れ物に触れるように、ゆっくりと彼女を腕に抱いた。
千景は、薬の残骸を、恐る恐る手に取った。
二人の理解は、およそ同時にやってきた。
「かぁこ……?」
カナコは目を深く閉ざしていた。
「ダメだ……」
千景が、叫ぶ。
「薬を大量に飲んでる!!」
「………」
「オーバードーズだ!早く病院に――」
――ドンッ!
そこで、部屋の入口から殴打音が響き渡った。
「何、してる」
部屋の出入口を塞ぐように立っているのは――紫藤 怜。
予定を変え、リビドーに戻ったのは、単なるカン。
ただ、嫌な予感がした。


