余所者-よそもの-【 3 】


一方。

ユキと千景はおよそ同じ速度で駆け抜け、リビドーの扉の前に立った。


「………」


ユキは二本の内、一本の鍵を差し込み、リビドーを開錠する。

すぐさま千景が扉を開き、――リンッ!と鈴の音が激しく鳴った。


「こっちだ!」


前を走る千景の背中を追いながら、ユキは握りしめたもう一本の鍵を構えた。

鍵穴へ滑り込ませ、一気に押し回す。


――カチ。

金属音が鳴り響くと同時に、扉を力任せに開け放った。



「――かぁこ!!」

「ママ!!」


二人が彼女を呼ぶ。

視線の先でカナコは、ベッドの下にうつ伏せのまま倒れていた。


ユキはすぐさま彼女に駆け寄り、そっと肩に触れる。


二人は同時に止まった。

時間まで、止まったようだった。


ユキの目には、カナコしか映らない。

ただ、倒れた背中が以前より華奢になった。

顔を見るのが、少し怖かった。


一方で千景は、カナコを見てはいなかった。

それよりも。


「なんだ……これ」


自分が野間に託した茶色い紙袋。

そこから、薬のフィルムが大量に散らばっている。