アパートの外階段を上がり、二階に着いた。
「チカ様。俺ぇ、隣で休んでます」
デックはそう言って、隣り合ったドアの片方へと消えた。
私たちは、もう一方のドアへと入る。
――キィ……
立て付けの悪そうな扉の音を聞きながら、部屋に入れば。
そこは、畳の匂いのする部屋。
扉の先には、八畳ほどの和室が縦に二間、続いていた。
部屋の最奥には綺麗に整えられた敷布団があり、私の身体はそこに降ろされた。
「今は熱い?寒い?どっちが強い?」
地下の売人はそう言って、分厚い布団と毛布を上から掛ける。
「頭、割れるみたいに痛いんでしょ。あ、そうだ」
状態を聞いてきたかと思えば、急に思い至ったように立ち上がり、
「眩しいね」
そう言って、シャッ、と、窓際のカーテンを勢いよく閉ざした。
部屋が一気に薄暗い闇に包まれる。
まるで私の身体の不快症状を全て把握しているような口ぶり。
だけど、そのどれもが的確だった。
ずっと頭は痛いし、悪寒は止まらない。
眩しい光も、煩い音も、今の私には全部が苦しくて。
少し触れるだけで、頭の奥までかき乱される。
この人は……地下の売人。
薬物依存者を集めた区画、Z地区の……王様。


