余所者-よそもの-【 3 】



アパートの外階段を上がり、二階に着いた。


「チカ様。俺ぇ、隣で休んでます」


デックはそう言って、隣り合ったドアの片方へと消えた。

私たちは、もう一方のドアへと入る。


――キィ……

立て付けの悪そうな扉の音を聞きながら、部屋に入れば。


そこは、畳の匂いのする部屋。

扉の先には、八畳ほどの和室が縦に二間、続いていた。


部屋の最奥には綺麗に整えられた敷布団があり、私の身体はそこに降ろされた。


「今は熱い?寒い?どっちが強い?」


地下の売人はそう言って、分厚い布団と毛布を上から掛ける。


「頭、割れるみたいに痛いんでしょ。あ、そうだ」


状態を聞いてきたかと思えば、急に思い至ったように立ち上がり、

「眩しいね」

そう言って、シャッ、と、窓際のカーテンを勢いよく閉ざした。

部屋が一気に薄暗い闇に包まれる。


まるで私の身体の不快症状を全て把握しているような口ぶり。

だけど、そのどれもが的確だった。


ずっと頭は痛いし、悪寒は止まらない。

眩しい光も、煩い音も、今の私には全部が苦しくて。
少し触れるだけで、頭の奥までかき乱される。


この人は……地下の売人。

薬物依存者を集めた区画、Z地区の……王様。