――あれ?
シドが、いない。
前に来てから、どれくらい時間が経ったっけ。
「野間くん」
扉の外に、話しかける。
声は、返ってこない。
何度か呼んだけれど、返ってこない。
「………」
そうだ。
野間くん、言ってた。
――『今から言うことを覚えておけますか?』
うん。
ちゃんと、覚えてる。
――『薬を飲んでください』
薬は、ベッドの下に隠してくれた。
茶色い紙袋を開けた。
薬がたくさんあった。
いつも野間くんが飲ませてくれてた薬。
口の中に入れて、水で流し込んだ。
「野間くん」
――『薬を飲んでください』
水はもう空っぽ。
手に取るのが面倒で。
もういいやって、薬をぼりぼりと歯で噛み砕いた。


