「……シド、血が出てる」
ぽつり、と呟けば、シドが私を抱きしめる。
血の匂いが、濃くなった。
「ああ。俺んじゃねぇよ」
「………」
その嫌な匂いに、身を捩った。
放して、と抵抗すれば、シドの腕の力が強くなる。
「シド、着替え……」
「もっと感じてやれよ」
「………」
「野間が、かわいそうだろ」
……どういう意味?
「野間くん……?」
「ああ」
「野間くん、どこ?」
血の匂いが、私を包む。
「血……」
「野間のだ」
「なん……で?」
「………」
「野間くんの、血が……どうして――」
「殺した」
……今。
なんて……?
頭が真っ白で、だけど呼吸だけが乱れた。
はっ、はっ、はっ。
息を吸うたびに、血の匂いがする。
シドは「落ち着け」と、宥めるように私の背中を撫でた。


