でも。
カナコさんの彼が死んで。
カナコさんが罪悪感の中で、必死にもがき苦しむ姿は。
カエデさんというよりも――…
「あなたがカナコさんに重ねているのは、自分自身」
「………」
「壊したい、傷つけたい」
「………」
「それでも」
「………」
「癒したい。愛したい」
「………」
「全部、紫藤さん。あなた自身なんじゃないですか」
紫藤さんが吸い込んだ煙草の先が、赤く光り、灰が伸びる。
「カナコさんを傷つけて、自分を罰して」
「………」
「カナコさんを愛して、自分を癒そうとしてる」
どんどん、どんどん、煙草はフィルターに向かって、燃え進んでいく。
「もう。カナコさんを傷つけるのを、やめてください」
「………」
「いい加減、テメェのこと許してやってくださいよ」
言い終えた瞬間、煙草は静かに燃え尽き、赤い光が消えた。
「最後の言葉はソレでいいか?」
「はい。もう思い残すことはありません」
「ああ」
「どうも、お世話になりました」


