余所者-よそもの-【 3 】



「……残酷なタトゥばかりだ」

「そうっすかね」


僕の身体の隅々に残る、シトウの人々の終焉。


なんでこんな物を彫ったんだっけ。

別に、人の死が好きってわけじゃない。


ただ、僕は。

誰でも持っているものを、この身体に刻むことに興味がなかった。


僕はずっと、何者かになりたかったから。


きっと、だから。

僕の眼で見たものを刻んだ。


誰かが間違えたこと。

誰かが壊れたこと。

誰かが愛したこと。


どうやって一人の人間が終わったのか。

シトウの眼である僕が、見届けたものを。



「ずっと言ってたじゃないか。野間くん」

「何をっすか?」

「『背中にスミは入れない』って」

「ああ」


だって、背中は。

自分には見えない場所だから。


「どこより大きなキャンバスなのに、背中にだけ彫らないのが、僕にはおかしくてね」


そう言って、彫師は口に笑みをつくり、施術を始める。


「だから背中にスミを彫るって連絡もらったとき、ワクワクした」

「ワクワク?」

「こんな身体中に混沌を描く野間くんが、背中に残すものは何だろうってね」

「あーハイ。ガッカリしました?」

「ガッカリだなんてとんでもない。デッサンに力が入ったよ。まぁ、3回ボツったけど」


彫師はひとしきり話すと、施術に集中した。

僕は脂汗を掻きながら、悶えるような痛みに耐えた。