余所者-よそもの-【 3 】



地下の売人は猛スピードで車を走らせ続けた。

どれくらい走っただろう。


よく知った景色から、いつの間にか全く知らない景色へと移り。

やがて物静かな住宅街に入ると、一軒の古びたアパートの前で停車した。


地下の売人が車から降りる。

隣のデックも「よっこらせ……」と、反対側のドアから車を出た。


――ガチャ、と。

開かれたこちら側のドアの前には、地下の売人が立っていた。


「行こっか」


ニッコリ笑った彼から、こちらに延びてくる手。


「………」

私はそれをパシ、と音を立てて振り払った。


彼がどんな顔をしているかはわからない。

私は俯いて、ガタガタと震えた自分の両ひざと、その上に乗った両手を見ていた。


「寒い?」

「………」

「どこが辛い?」


ふわりとお香の香りが鼻を掠めた。

視界の端に、銀色に光った白い髪が映る。


地下の売人の両腕が、私を包んでいた。

身体の熱を渡すように、背中を擦って、身体を密着させてくる。


私が「いやっ」と突っぱねれば、簡単に抱擁は解けて。

その代わりに膝裏と背中に腕が回って、横抱きに抱えられたまま車内から出された。


「すぐに元気になるよ。僕が治してあげるから」


ふふん、と機嫌よく笑った地下の売人に抱えられたまま、私の身体は運ばれていく。