余所者-よそもの-【 3 】



扉の先に居たカナコさんは、酷い有様だった。

何度も掻きむしったのか、ボサボサとまとまらない髪と、ひどく腫れた目。


何より。

腕にはいくつかの注射痕があった。


「………」

――紫藤さんは、一線を越えてしまっていた。



「カナコさん……」

「野間くん……わたしっ」

「大丈夫……大丈夫です。地下の売人から預かってます」


地下の売人はまるで予感していたかのようだった。

彼女の状態ごとに細かく用意されていたものの中で、これまで一度も使った事がない薬を手に取る。


「よく、眠れるそうです」


カナコさんは薬を口に放り込み、水で流し込んだ。


手に水の入ったペットボトルを握りしめながら、カナコさんの手の震えが一瞬止まる。


「あ……野間、くん」

「なんすか?」

「どうして……わたし、忘れ……」


床に座り込み、動揺するカナコさんに、僕は「ベッドに行きましょう」と促した。

カナコさんは激しく首を横に振る。


「バレたの……!」

「………」

「シドが、水が変だって」

「………」

「私も、変だって……っそれで――」


「大丈夫っすよ。何も問題はありません」


強張っていたカナコさんの身体から、徐々に力が抜けていく。

僕は彼女の腰を支え、ベッドに誘導した。


カナコさんは戸惑いながら、おぼつかない足で進み。

やがてベッドに腰を落とす。