余所者-よそもの-【 3 】



――ガタガタ、と。

カナコさんの部屋から、しばらく物音が立っていた。


紫藤さんは昨日一昨日と、二日連続でカナコさんの部屋に立てこもった。

その間、部屋の中で何があったかはわからない。


それでも、カナコさんの身に何かがあったことは明白だった。


「カナコさん」

「………」

「カナコさん」


僕に構う余裕すらないようだ。



「……カナコさん、入りますよ」


鍵を差し込み、ドアノブを捻れば。


――ドン、と。

カナコさんが向こう側から開きかけたドアを押し込んだ。


「……酷い状態なんでしょ」

「ううん。大丈夫」

「薬を渡します」

「ダメ、今は」

「カナコさん」

「お願い。見られたくないの……」


いつもなら。

どれだけ錯乱してようが、僕は彼女の意志を優先する。


でも――今日は。


「開けます。退いてください」

「やだっ」

「嫌なら目を瞑ってますから」

「だめ。薬も要らない」

「いいえ」

「また今度でいい……」


「僕に、”今度”はありません」


そう言うと、軽くなった扉。

押し開き、中へと入る。