「シトウはいずれ、盲目になります」
「………」
「しばらくは、何も見えない」
「………」
「その隙に、カナコさんを取りに来てください」
紫藤さんからもらった、この眼は。
紫藤さんのために、使う。
「待て、」
瑞生さんは、僕を呼び止めた。
僕はもうカウンターの席を立ち、出口に向かって歩いている。
僕の眼から零れ落ちる一筋の涙を隠すように、背中越しに言葉を紡いだ。
「救出にさほど戦力は要らない。救い出したあとの為に温存してください」
「……お前、裏切るのか?」
「いいえ。僕はあなた方の肩なんて持ちません。最後まで……紫藤さんの味方だ」
「………」
「あなた方と抗争することがあれば、その時は迷わずシトウ側に立って闘います。……では」
僕はそれだけを言い残して、店を出た。


