「アイツの悲しまない街で、」 「………」 「俺はアイツと、生きていく」 ――『私は、生きたいの』 ――『みんなにも、生きていてほしい』 あのとき。 カナコさんは、どんな顔をしていただろう。 不思議と、今は。 穏やかに笑うカナコさんが、浮かんだ。 その身体を、目の前の瑞生さんが抱きしめる。 カナコさんも、その背中にそっと腕を回した。 僕の眼の中でだけ。 二人はようやく、同じ場所にいた。