余所者-よそもの-【 3 】



カナコさんの部屋に入るようになって。

僕はきっと、触れてはいけないものに触れてしまっていた。


それは、彼女の意志。

僕はもう、ずっと見ていられなかった。


誰か彼女を助けてあげて欲しい。



「だけどカナコさん、紫藤さんのことも見捨てないんです」

「………」

「恨まないんです。憎まないんです。ただ、ずっと。小さな部屋で。……たった一人で、自分自身と闘っています」



それでも、紫藤さんを見捨てないでほしい。


あんな状況のカナコさんを前にしてさえ。

僕はこんな都合のいい願いを、抱いてしまっていた。




「あなたは、カナコさんを救えますか?」




瑞生さんは目を見開いたまま、動かない。

呼吸すら忘れたようなその人に、僕は尋ねた。




「カナコさんをシトウから奪うということは、紫藤さんを敵に回すということ」

「………」

「それは、死ぬ覚悟だ」

「………」


「覚悟は、ありますか」