余所者-よそもの-【 3 】



「カナコさんの状態を知るためだけに、手の内を僕に知らせたんですか」

「知らせるも何も、言って困ることは言ってない」

「警戒されるとは思わないんですか」

「地下の売人が入った時点で、警戒ならもうしてるだろ」

「………」

「今更何か口零したところで、こちらの状況は変わらない」



この人は……何がしたいんだ。

人の思考を散々掻き回しておいて。



「……なぁ。教えてくれ」

「………」

「かぁこは……アイツは、どうしてる」



その懇願するような声に、思わず息を呑んだ。


「………」


僕は爪が食い込むほど、更に拳をきつく握り直す。

そうしないと、込み上げてくるものを抑えられなかった。


そんなにカナコさんのことを知りたいのなら。

いいさ、教えてやる。



「――……『ユキさん』」


僕は、ぽつりと、それを落とした。



「『ユキさん』、『ユキさん』」


どうしたって、つっかえそうになる胸。

一度、大きく息を吸い込んだ。


「……カナコさんは。ドラッグに意識が飲み込まれそうになるたびに」

「………」

「こうやって、何度も、何度も、あなたの名前を呼んでいます」



あの震える声を、思い出す。

誰もいない部屋で、縋りつくように。

延々と、返事のない名前を、呼び続けていた。



「彼女は闘ってます。自分の中のドラッグと、この状況と」