「どれくらい、猶予がある」
「なにを……」
「お前がアイツを生かしてると、聞いた」
「………」
『聞いた』。
この三文字に、ざわざわ、ざわざわと。
僕の脳内が騒ぎ出した。
カナコさんを生かす。
僕がカナコさんに薬を渡していることを知っている人間なんて――。
「……地下の売人と繋がっているんですか?」
「………」
「あなたが?」
瑞生さんは、それ以上は言葉にしない。
考えられる接点だってカナコさん、それしかない。
だけど、地下の売人は聡(サト)い。
何の得もなく情報を渡すとは思えない。
得……。
地下の売人はカナコさんを助けたい。
欲しいのは、戦力。
でも、瑞生さんには戦力なんてないに等しい。
だってこの人は、たかが露天街の外れの……
――露天街?
「そうか」
欠けていたピースが、一気に繋がる。
「……この間のZ地区と露天街の抗争。首謀者はあなただったんですね?」
Z地区の中には見張りは置けない。
故に、いくらシトウ内で情報をかき集めても。
あの日の騒動は謎めいたままだった。


