僕は考える。
いや、ここに入ってからずっと考え続けている。
この男は、どうして僕に会いに来た。
理由はカナコさんに違いない。
ただ、目的が読めない。
僕はシトウの人間だ。
話し合うにしても、僕を潰すにしても。
本来なら、複数人で来るべきだ。
それをあえて一人で来た。
覚悟があるのか、舐められているのか。
どちらにせよ、その土俵に乗ってやる。
人払いをしたここは――僕と瑞生さんの、二人きり。
「………」
どの順序で目的の筋を探るか、頭の中で組み立てていた。
すると――コトン、と瑞生さんの持つグラスの底が、カウンターを叩く。
「アイツは、生きてるか」
瑞生さんのその声色は、喉の奥で押し殺したように重苦しい。
どうしてだか、喉元にナイフでも突きつけられているような感覚がして。
僕はひっそりと息を飲む。


