余所者-よそもの-【 3 】



瑞生さんと正面から顔を合わせるのは、二度目。

一度目は、紫藤さんに会わせるため、AnBarへカナコさんを迎えに行ったときだ。


――『行きましょうか、カナコさん』


ロクな対面じゃなかった。


――『シトウの紫藤は、女一人の面倒も見れない程、甲斐性がないのか?』


ただ、このとき僕は知った。


露天街の外れで、細々と商売をするこの男。

瑞生さんは、ただ者ではない。


特にシトウに害のないはずのこの男を、紫藤さんは警戒とまでは言わなくとも、気に留めていた。


この男は、ずっと妙なんだ。

まるで獲物を前に、動かないだけの獣のような。

何もしてないのに、いつでも何か出来る――そんな気配だけを漂わせていた。


「………」


初対面のあの時と同じ。

背筋にゾクゾクする感覚を思い出しながら、僕は瑞生さんの隣に腰かけた。


視線の端で、瑞生さんがウイスキーの入ったロックグラスに手を伸ばす。

カウンターの上で傾けられたグラスに、カラン、と氷の音が冷たく響いた。