余所者-よそもの-【 3 】



「………」


奥歯が軋む。

腹が立って、腹が立って、仕方がない。



「それは違うよ……」



やがて、ぽつりと落ちた声。

視線を合わせれば、彼女は困ったような顔を少し伏せた。



「私は、生きたいの」



彼女の唇から響いた言葉。

僕の身体から、一瞬で力が抜ける。


目を丸めて、噛みしめていた奥歯も離れた。


考えていた真逆の回答に、思考が追いつかない。


『生きたい』……?



「生きたいから、」

「………」

「みんなにも、生きていてほしい」

「………」


「それだけだよ」



どうして……この人は。


こんなところに閉じ込められて。

こんなに壊されておきながら。



――『みんなにも』


カナコさんは、まるで。

紫藤さんにさえ、生きていてほしいと、願っている。