――コンコン。
カナコさんの意識が起きている時間が増えたので、部屋に入る前にノックをするようになった。
「カナコさん、入ります」
部屋に入っても、余計なことはしない。
「カナコさん、薬を」
「……ん」
カナコさんは薬を自分で飲むようになった。
「……野間くん」
「なんすか?」
「きのう……ごめん」
昨日、カナコさんはひどく取り乱した。
慌てて慌てて部屋に入った僕を、カナコさんは叩いた。
叩いたと言っても、振り払おうとした手が当たっただけだ。
「なんともないっすよ、あんなの」
とても申し訳なさそうな顔をするカナコさん。
こうやって、少しずつ彼女は表情を取り戻していった。


