合鍵の完成を待つ間。
僕は一番最初に、カウンターの棚に置かれていたドラッグを差し替えた。
地下の売人の用意した、精巧な偽物に。
地下の売人が残した紙には、これからカナコさんの身体に起こり得ることまで、細かく書かれていた。
驚くほど几帳面に書かれたそれは、メモというよりも、まるで指示書。
僕は少し呆れた。
……どこまで彼女のことを考えてるんだ。
その日は、薬を与えてすぐに部屋を出た。
――次の日。
「……のま……くん?」
カナコさんは、どうしてここに居るんだ、と不思議そうな顔で僕の名前を呼んだ。
その次の日も、次の日も……
僕は隙があれば部屋に入った。
紫藤さんが違和感を抱かない程度に。
少しずつ、少しずつ。
カナコさんの意識は、こちら側に戻ってきた。


