僕は袋の中の薬を、手に取った。
「カナコさん」
「………」
「カナコさん」
返事はない。
だけど目は向ける。
「触るっすよ」
脱力する彼女の背中を、片腕で起こす。
「………」
紙に書かれた通り、薬を飲ませる。
上下する喉。
やがてゆっくりと瞬きを繰り返して、僕を見る。
飲み込む動作に引っ張られるように、ゆっくりと意識が浮上した。
だけど、カナコさんは特に何か言うでもなく。
おもむろにベッドの下に転がったペットボトルを手に取った。
まるで『足りない』とでも言うように、水を飲む。
「………」
もう、その水に。
ドラッグは潜んでいない。


