余所者-よそもの-【 3 】




誰も紫藤さんを治せない。

治し方がわからない。


僕にだって、分からない。



――何が……『シトウの眼』だ。


「……っ」


思わず、――ダンッ!とカウンター台を叩きつけた。



すると、扉の奥から「野間くん……?」と。

今にも消えそうな声が、届いた。



「………」


もう、消えないでほしい。


生きてほしい。

カナコさんにも、紫藤さんにも。


死の覚悟なんて。

死の結末なんて。


もう、たくさんだ。



――『だったらせめて、あの人の心を守ってくれ』


「………」


僕は隣のチェアに置いていたバッグから、袋を取り出した。


――茶色い、紙袋。

地下の売人に託されたもの。



紫藤さんの治し方はわからない。

でも。




――”これ以上壊すこと”。

それなら、僕にも止められる……。




僕は、最奥の扉を見据え。

手の中の紙袋を、強く、強く握りしめた。




今、――もう一度。

『視る』だけを、やめる。