「………」
――『あなたはいつだって、紫藤さんの弱さを許さない』
さっき、多夜さんに吐いた自分の言葉。
紫藤さんの弱さを許さなかったのは、何も多夜さんだけじゃない。
僕だって。
この街の皆だって。
自分たちの弱さを、紫藤さんに押し付けるだけ押し付けて。
崩れ落ちていく紫藤さんに、手を差し伸べることすらできない。
どうすれば。
紫藤さんを、治せるんだろう。
多夜さんも、わからないようだった。
紫藤さん自身も、きっと止まれない。
このまま暴走を止められず。
たとえば。
万が一にも。
紫藤さんが、カナコさんを死なせるようなことがあれば。
それこそ、あの人はもう二度と立ち上がれなくなるだろう。
……かといって。
誰が今の紫藤さんから、カナコさんを取り上げられる?


