余所者-よそもの-【 3 】



『ケンタロウ』

僕をそう呼んだ、先輩。


先輩が小さく営んでいたバイク屋は、紫藤さんの手によって更地にされた。


やがてそこに、一軒の小さな店が建った。


紫藤さんは建物が完成すると「ここを拠点にする」と、幹部を集結させた。


真っ新なカウンターの上に、一枚の大きなプレートが乗せられる。

冷たいアルミ素材の、ずっしりと重たいそれは――表に掲げない、ここの看板だった。


「Re:bido……?」


「………」

「どういう意味っすか?」


プレートの文字を読み上げた僕に、紫藤さんは煙草を吹かしながら。

視線も合わせずに、口を開く。


「libidoは――強烈な衝動だ」

「『Re:』ってなんすか。返信?」



「衝動は、いつか己に返る」



「……なんか、縁起悪くありません?」

「何言ってんだ、お前」

「だって」


「人の恨みつらみごと、シトウの街を喰らう」

「………」

「……見返りなんざ、覚悟の上だ」