余所者-よそもの-【 3 】



役割を与えられたのは、何も僕だけじゃない。

紫藤さんは人を拾っては、その人間に役割を与えていった。


喧嘩しかできないヤツには、街の警備を。

頭しか使えないヤツには、街でビジネスを。

行く場所のないヤツには、寝床を与えたし、何が出来るかを一緒に考えた。


終わりの街。

シトウに流れ着く、荒くれもの。


行き場を失くし、自暴自棄になった人間が。

紫藤さんのそばでは、何者かになれた。


生きる理由――進む道を、次々にみつけていった。


みんなが紫藤さんに憧れ、迷わずついていく。


『紫藤さんなら勝つ』

『紫藤さんがいれば大丈夫』


僕たちは、紫藤さんがいれば道に迷わない。



だから、誰も気付けなかった。



その信頼を注げば注ぐほど。

いつしか紫藤さんは、弱さを見せることさえ許されなくなっていった。



勝たなくてはいけない。

倒れてはいけない。

勝ち続けなくてはならない。



街中の人間に生きるための役割を与え続けた、紫藤さんを。

『シトウの紫藤』という、二度と降りられない役割の中に、閉じ込めた。




――自分たちが、生き続けるために。