余所者-よそもの-【 3 】



「お前は、視ろ」


「見る?何をですか?」

「全部だ」


……全部、とは。



「誰が何を言った。どこで何が起きた。噂じゃなく、事実だけ拾って集めて、俺に持ってこい」



そうして、この日。

シトウを生きる僕に、大きな役割が与えられた。


街の情報を集め、集約し。

漏れなく、紫藤さんへ伝達する。


紫藤さんはもう喧嘩はするな、と言ったけれど。

混沌を極めるこの街で事実を最後まで見届けるためには、最低限の強さは必要だった。


僕は視るために。


ただ、見続けるために。

必死にこの身体を鍛えた。


そして。

暇を見つけては、この身体に刺青を刻んだ。


無駄に喧嘩を吹っ掛けられないよう、脅しをつけるために。

安直だが、これが手っ取り早かった。


一番最初に彫ったのは、右手中指。

目玉のタトゥ。



紫藤さんにもらった『シトウの眼』の、象徴。