余所者-よそもの-【 3 】



喧嘩の理由をつくったのは僕。

しかも普通に失態。


なのに、紫藤さんは笑みを崩さない。


「お前、いいな」

「……何がです?」

「ボコられてんのに、話がブレねぇ」


そりゃあ、憶測を混ぜると事実が濁る。

濁った事実は、紫藤さんの判断を鈍らせる。


「普通は自分に都合よく話す」

「そうですか?」

「でもお前、自分がやらかしたことまでそのまま話すよな」

「それは僕にプライドがないからっすね」


紫藤さんはその場に立ち上がった。


「お前、もう喧嘩はすんな」

「……クビっすか?」


自分でも思う。

紫藤さんの身の回りにいる人たちより僕は弱いし、まず見た目からしてヘボい。


この人の隣には、とても相応しくない。


でも。

紫藤さんは「いいや」と首を横に振った。