余所者-よそもの-【 3 】



僕は紫藤さんの部下になった。

毎日が、生きるか死ぬかだった。


大げさでもなんでもない。

紫藤さんは毎日誰かに喧嘩をふっかけられていた。

周囲にいる以上、僕も自ずと戦いに参加するわけだが、これがちっとも役に立たなかった。


僕は喧嘩が強くない。

というか、弱かった。



――とある日。

紫藤さん不在の中、喧嘩をした。


僕を含め、数人が地面に転がる中。

どこからともなくやってきた紫藤さんが、僕の目の前に屈む。


パンパンに腫れた顔。

片目は切れているのか、開かない。


紫藤さんはそんな僕を見て、いたずらに笑っている。


「お前、弱ぇな」

「……知ってますよ」


「んで?」


その短い問いかけに、僕は脳みそを奮い立たせた。

さっきこの目で見た複数の情報を、なるべく分かりやすく、瞬時に整理する。


「……相手は六人。最初に殴ってきたのは赤いパーカーの髭面の男。右手にメリケンサックみたいな指輪をはめてます。残りの五人は素手。逃げたのは二人。赤のパーカー男と、その女です。北側の路地に抜けました」


そこまで説明して、「……あ」と、追加で伝えなきゃいけないことを思い出す。


「なんだ」

「発端は僕っす。女に声をかけました」

「それはお前が悪ぃだろ」

「はい。この間紫藤さんの店で金抜いてバックレたキャバ嬢に似てて。間違えました」