「この土地は今日から俺のもの。犬も居ねぇし、お前が寝泊りすることも許さねぇ」
「………」
「ただ」
僕は男を見る。
大きな、大きな男の背中に、なぜだか釘付けになった。
「来るか?ついてくるなら、寝床くらいはやる」
「………」
「ついでに仕事もやる」
「……いや、でも」
「お前、ヒマなんだろ」
「別にヒマじゃないっすよ」
僕は少しムっとした。
仕事もあるし、ヒマじゃない。
ヒマだから、ここに来てたわけじゃない。
そうじゃなくて。
僕は……
「――ああ。ヒマじゃなくて、退屈なんだろ?」
……退屈?
そう……。
「………」
ずっと、そうだ。
僕は、退屈だった。
だって僕は平凡。
凡人。
普通の人間。
刺激に憧れながら。
選べたことなんて、一度もない。
いつも自分は無難な道を選ぶ。
きっとこの先も。
もし、目の前にどんなチャンスが訪れたって。
迷わず駆けたブウのようには、走れない。


