余所者-よそもの-【 3 】



男はしばらく僕のことを睨むような目で見ていた。

やがて「ふん」と鼻を鳴らすと、再び歩き出し、奥の棚をガサゴソと漁りだす。


手持無沙汰になった僕は、口を一生懸命に動かした。


この男は先輩の仲間。

そう仮定して、先輩と自分の思い出を勝手に語る。


「――……ですよ。僕ってこう、平凡なんで、こんな破天荒な先輩はちょっと憧れだったんすよね。自分じゃとても経験出来ない話を聞くのが楽しくて」

「………」


ぺちゃくちゃ、ぺちゃくちゃ。

『帰れ』って言われないように、一方的に話し続ける。


すると、男は一つの書類を手に取り、こちらに向かって歩いてくる。


僕の視線を捕まえながら、男はゆっくりと通り過ぎた。


「え、ちょっと!」


唐突も、唐突。

男はブウの首輪を取ると、ケツを軽く蹴ってブウを外に放った。



「自由に生きればいい。犬も、人も」



「……どういう意味っすか」

「思うように生きればいいだろ」


何の、話を。

この男は。