余所者-よそもの-【 3 】



「行ってくださぁい!もう時間がない!」


切羽詰まったような声。

アンバランスに、口元だけが笑っている。



デックのその顔は『あなたを勝たせる』と、そう言っているようだった。

地下の売人は「この木偶の坊が」と、笑い返す。



どこか満足したような顔をしたデックは、すぐさま飛び掛かり。

後ろからリンコを羽交い締めにした。


その隙に、地下の売人は速やかに車に戻り。

私の横のドアを足で蹴って、バタンッ!と、勢いよく閉ざした。


代わりに運転席のドアを開け放つ。


静かに座っていた運転手の男が、驚いたように声を上げる。


「……え?なんですか!?」


戸惑うその男を、地下の売人は強引に車から引き摺り出した。

地面に転がし、両手で背中を掴んで持ち上げ。


宙に浮かべたまま、振り子のように二、三度、大きく揺らした。


「お前、まだ元気でしょ?」

「なっなにを!?」

「活きの良いエサの方が、きっと食い付きがいい」


「……うあ、あっあッ……!」


勢いをつけたその身体を、リンコとデック目がけて、投げつけた。


――ドタンッ……!

と、三人の身体が、重たい音を立てて折り重なる。


同時に、姿勢を低くして走った地下の売人は、デックの細くて長い身体を速やかに回収した。