――その数日後。
店を訪れると、そこに先輩の姿がなかった。
「センパーイ?」
どこにも、見当たらない。
呼んでも探しても居ない先輩に、今日は出かけてるのかな、と帰ろうとすると――ワン!と、犬が足元で吠えた。
「どうした、ブウ」
どこか物欲しげに舌を垂らすブウ。
見れば、リードを繋いだ水道の下にある水入れが、空っぽだった。
僕が蛇口を捻って水を出してやれば、ブウは慌てて器に舌を突っ込む。
その光景を不思議に思ってみていると。
「おい、誰だ」
後ろからかかった声に振り向く。
そこには威圧の眼差しを向ける一人の男が、煙草を口に咥えて立っていた。
誰だろう。
先輩の知り合いか?
それにしても、怖い人だ。
何も言われていないのに、視線を合わせているだけで身が竦む。


